祖母を想う昼さがり

 こんにちは 司法書士の中村です。

 久しぶりに委任状に登記内容をたくさん手書きしています。通常は印刷しておいたものか、「〇年〇月〇日付登記原因証明情報記載のとおり」とある年月日を埋める位ですが、今回は全て手書きが必要で、セッセと書いています。枚数も多く、「あー、カーボン紙敷きたいなぁ・・・。」と思いました(昔は用紙の間にカーボン紙敷いて一度で数枚書けるよう工夫していたんですよ、ご存知ですか?若い方!)。

 委任状書いていると、あ~、なつかしい、祖母の顔と声が脳裏に浮かびます。

 私は登記の基本事務に関しては祖母から手取り足取り教わりました。祖母は、戦後間もなく祖父が開業した司法書士事務所を50年以上二人三脚で支えてきた人です。いちばん初めに教わったのが委任状の書き方でした。

 祖母が、私の横につきっきりで、こう書いて、ああ書いて、間違ったらこの砂消し使って(←本当はダメです(^^;))、押印ある書類は大事やから絶対に間違えてはいけない、数字は漢数字で(当時は算用数字不可)等々、、、マニュアルなんてものがなく、口と手を使って一枚の委任状書くのにいっぱい時間をかけて教えてくれました。

 なつかしい。

 祖母の好きな言葉は「家万事和なり」。「おじいちゃんは争いごと嫌いやった。この仕事は争いが無いから良い。双方納得のことを書類にするから双方から喜ばれてこんな良い仕事は無い」とよく言ってました。

 あれから30年近く・・・・今は司法書士も争いごと(訴訟代理)のお仕事がたくさんあります。祖母が見たらどう言うか・・・リアルに想像でき、笑いと涙が両方でる昼下がりでした。